話しの置き場

話したことの覚え書き

仏教の教え 慈悲の心

修行とは何かと考えた時、坐禅をしたり掃除をしたりお経を読むといったことが思い浮かびます。私も永平寺というお寺で修行していました。それは大切なことですがそれにより磨くのは心です。心を磨くのが修行なのです。それはお坊さんではない、所謂一般の人でも同じことです。

仕事や生活で悩んだり苦労をする、大変な思いをすることがあると思います。それを悩みながら少しずつ少しずつ乗り越えていく、そうやって心は大きくなっていきます。ただ、1人でその暗闇から脱出することは難しいものです。誰かの助けをうけて、より大きな壁も乗り越えて行くものです。その中でお釈迦様の教えは暗闇を照らす光になります。お釈迦様が仏様の道を歩き始めたのは人生の苦しみから解放する方法を探してのことです。だから仏教の教えは最終的に苦労すること、つらいことのある生活の中で穏やかな心で過ごすことなのです。

 

 

仏教の教えの真髄は慈悲の心です。慈しみを持って周りに優しくすることが大切。子供に言い聞かせるようなことです。でもこれが常に中心にあるのが仏教の教えです。相手のことを思う、それが自分の心をも穏やかにする。

 


日本は老舗企業大国です。世界で200年以上続く企業の半数以上が日本に集中しています。なぜこれだけ日本の企業は長く続くのか。様々な要因はある中で、そのひとつに「三方よし」という考え方があります。相手も自分も、そして世の中も豊かになるように商売をしようといった意味です。

現代の商売のスタイルはいかに早く、大きな結果を出すかということに重きをおいているように思います。日本に古くからある、どれだけ相手と信頼関係を築き末永く繁栄していくかという考えはむしろ軽んじられているのではないでしょうか。

お経の後にお唱えする回向はこれも古くから伝わるものです。その祈りの言葉でも家門の繁栄、子孫が末永く生きることを願う部分があります。

 


現代は昔とくらべ物は豊になりましたが、逆に心の不安が人々のなかで大きな悩みとなっています。

 

 

先ほども申し上げたように、今の世は短いスパンで、もの事を考える視点に変わっています。しかし、目の前のことに注視していると、その都度一喜一憂することになります。それは心の起伏が大きいということです。落ち込む時は激しく落ち込みもう終わりだと感じることもあるでしょう。

一方で永き繁栄を考えることは遠くに大きな目標を持つことです。

近くばかりを見ていては目の前に壁が現れた時、その壁しか見えなくなり、もはや他に道は無いように感じるでしょう。

遠くに目指す場所があるなら、遠回りしようとも他の道を探すこともできるはずです。

 


時に自分の利益を相手に分けることになろうとも、それが長く続く信頼に変わるならそれはもっと大きな価値となるものです。

 


自分を思い、相手を思うこれが仏の教えの真髄です。